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地方創生のための「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の肝は「人材」

2020.8.29

■地方創生のための「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の肝は「人材」

 

 第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」[1]では、第1期での目標未達の結果の反省と原因の詳細な分析により、第1期目標を見直して次のような新たな目標が設定されています。

基本目標1:稼ぐ地域をつくるとともに安心して働けるようにする

基本目標2:地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる

基本目標3:結婚・出産・子育ての希望をかなえる

基本目標4:ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる

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  驚いたことに第2期の目標は第1期とほとんど同じであることがわかります。要するに、第1期の5年間は道半ばの結果であり、そこでの取組みを深掘りしつつ継続していくものと理解されます。但し、次のような「横断的な目標」が追加されている点は注目に値します。

横断的な目標の追加

(多様な人材の活躍を推進する)

地方創生が点の取組から面の取組に広がり、真に継続・発展していくためには、域内外にかかわらず、地域に関わる一人ひとりが地域の担い手として自ら積極的に参画し、地域資源を活用しながら、地域の実情に応じた内発的な発展につなげていくことが必要である。このため、多様な人材が活躍できる環境づくりを積極的に進める。

また、活気あふれる地域をつくるため、若者、高齢者、女性、障害者、外国人など、誰もが居場所と役割を持ち活躍できる地域社会を目指す。

(新しい時代の流れを力にする)

AIIoTなどの「未来技術」の活用、Society5.0SDGsなどの時代の潮流に沿った施策投入を骨子とするもの。詳細は省略。

 

 これら追加目標のうち2つ目の「未来技術」「新しい潮流」関連については、地方にもイノベーションを起こし活性化を加速するという意味で大いに期待されます。ただし、取り組み方針としての新規性は薄く、必然のことと言えます。人類が持続的に発展するために打ち出されたSDGsに沿った施策投入は、時代のそして当然の流れと考えられます。

 

一方、1つ目の「多様な人材」を取り上げた点は注目に値します。地域の多様な人材が地域の魅力向上、人が集まる地域の形成には必要不可欠ということであり、そのための環境整備を政府は強力に推進するとしているのです。

 

 以上、第1期総合戦略の反省を受けて取り纏められた同戦略の第2期(20202024)では、基本的に第1期の方針を継続するものです。各施策パッケージはより深掘りされるとともに、「多様な人材の活躍」と「新しい時代の流れ」を追加しています。これらの中で「人材」を取り上げている点は注目すべきです。次回はこの新しい項目である「人材」についてより詳しく議論します。

 

【参考情報】

[1] 第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」

令和元年1220

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/info/pdf/r1-12-20-senryaku.pdf