2020.9.X
■地方都市の新しい移動システムを想像してみる
前回、前々回のブログで、都市の新概念および自家用車に依存しない新しい都市について紹介しました。本ブログでは、都市の新しい姿を描く際に参考となる一案を提示します。ただ、方向性あるいはビジョンを示すことが目的ですので、具体的な設計図は範囲外です。その点は今後の議論に引き継ぎたいと思います。ここでは、ひたちなか市を例にとり、地方都市の移動システムの骨子を描いてみます。
(a)JR常磐線(勝田駅、佐和駅)を核とした第一階層交通網
現在のひたちなか海浜鉄道を延長し昭和通を通って勝田駅へ戻る主環状線、および勝田駅と佐和駅に結合し国道6号線方面を循環する副環状線、で構成され、自動運転電気バス(BRT:Bus Rapid Transit)が走行する(現在の海浜鉄道線は廃止しその跡地利用)。主要駅間の定時・速達運行を基本とする。
(b)第一階層交通網主要駅をつなぐ第二階層支線網
住宅地、集合住宅などから上記第一階層主要駅をつなぐ路線であり、小型自動運転カートが定時的に走行する(利用者の少ない地域はオンデマンド走行)。
(c)第三階層個別交通
上記第一階層または第二階層の駅には駐輪場を完備し、そこまでの交通手段として自転車(三輪・電動アシスト車選択可)を推奨する。車椅子、シニアカ―などへの対応含む。
(d)その他の交通手段
緊急あるいは市外への移動など上記範囲外のケースに対応するため、タクシーやカーシェアなどの手段が用意される。
(e)地点移動容易化のためのICTシステム
路線検索、料金計算・支払、現在位置表示、周辺情報案内、などを提供する統合情報システム(MaaS:Mobility as a Service)がスマホなど情報端末で提供される。
3つのブログの総まとめ
ひたちなか市民が皆、「住んでいて良かった」「もっと住み続けたい」と心から感じられるような都市をデザインするための一つの方向性、ビジョンを述べてきました。ひたちなか市は比較的温暖な気候に恵まれ、また工業、農業、水産業などの振興も進んでいます。海浜公園、海水浴場、魚市場などの観光資源も市の発展に寄与しています。しかし、そうした現実は一面的、近視眼的でもあり、例えば20年後にも持続可能と保証されてはいないことに気づくべきです。繰り返しになりますが、高齢者、女性、障害者、外国人などを含めた多くの市民にとって、真に豊かで快適な社会が望まれます。そのためには、広く多様な視点で未来を描き、小さくても着実な一歩を踏み出すことが大切と考えます。
以上。
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