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現代貨幣理論と地方創生

現代貨幣理論と地方創生


 新型コロナ感染拡大防止のため、政府は4月に約25兆円の1次補正予算を、6月に約
32
兆円の2次補正予算を決定、合計約57兆円という巨額の経済対策を講じました。現
在、第3波の機器に対して30兆〜40兆円とも言われる第3次補正予算の投入が議論され
ています。国民の安全・安心、医療現場の支援、雇用や中小企業支援などのための経
済政策など緊急事態を乗り越えるためには不可避の財政支出と考えられます。ただ、
債務残高がGDPの2倍以上にも膨張している現在、こうした財政赤字から経済破た
んに至ることはないのか、だれもが不安を抱くでしょう。

 しかし、そんな心配は無用、もっと財政を投じてこの経済危機を抑えよ、という新
しい経済理論が認められつつあります。それは、MMT(Modern Monetary Theory
現代貨幣理論)というものです。「自国通貨を発行できる政府は、インフレにならな
い限り、大量の国債発行をある程度許容する」とされる理論です。専門家でないと判
りにくいことですが、まずは次の記事を読んでみてください。

全世界が認めつつある「MMT(現代貨幣理論)」
https://blogos.com/article/500687/

 近年、米国民主党のリベラル派が主張していることで議論を呼んでいます。国内で
も経済学者の間で論争が続いていて、根強い否定論者も多いようですが、再評価され
主流となる日が間近いかもしれません。もっと知りたい場合は、以下も参照くださ
い。日本におけるMMTの第一人者である中野剛志さんの解説2本です。

中野剛志さんに「MMTっておかしくないですか?」と聞いてみた
https://diamond.jp/articles/-/230685

 以下は少し難しいですが参考のため。

特別寄稿 中野剛志 消費増税も量的緩和も愚の骨頂!
主流派経済学や政策当局の主張とは正反対のことをやるべき。これが、MMT(現代貨
幣理論)から導き出される政策提言だ。
https://facta.co.jp/article/201908017.html


 以上、財政健全化も緊縮財政も日本では間違っている、もっと財政を投入すべき、
ということ。なんとなく気持ちが大きく明るくなる話です。新型コロナ感染対応で困
窮する医療機関・従事者を財政的に支援できるだけでなく、デジタル化推進、交通イ
ンフラ整備、福祉や教育の充実、そして地方を活気づけるなど様々な政策が可能にな
るのです。

 少子高齢化、人口減少など課題山積で容易に進まない地方創生ですが、緊縮財政と
いう従来の壁を取り払えるとすれば、多くの課題は解決でき、幸せな招来が望めるの
です。30年もの間、デフレで沈滞してきたマインドを上向かせる原動力としたいも
のです。そこで大切なことは、これまでの延長線上の萎縮思考でなく、前広で明るく
夢のある将来ビジョンを描くこと、そしてそれを具体的施策に落としていくことだと
思います。より住みやすく豊かで元気な地方都市を目指す市民意識を高揚させていく
ことも重要です。加えて、その旗振りをする強力なリーダーシップが切望されます。

     以上

(2020/12月に寄稿されたが、掲載は2021/1/5)