「夢、これ以外に将来を作り出すものはない。」(ヴィクトル・ユーゴー)という名言があります。
これまで世の中を変えたイノベーションというものを振り返ってみれば、このことは明白でしょう。夢を描いた人が苦労に苦労を重ねてその夢を実現し、人々の幸せに貢献したという話は枚挙にいとまがありません。また、「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。」(吉田松陰)と言われます。うなずける有益な言葉だと思います。いまさらという感はありますが、「夢を語る」こと」が将来、あるいは次世代を決定づける重要な出発点であることを再認識したいのです。
もちろん「夢」は様々、宇宙旅行や地球環境といった大きなものから、オリンピックで活躍したい、お金をためて素敵な家を建てたいなどといった個人的なものまで人それぞれです。ここでは、より住みよいまち、にぎわいと快適さにあふれ、市民が幸せにせいかつできるまちの在り方、こうであったら嬉しいという夢を語りたいと思います。
【テーマ概要】
名称:ランドマークタワー構築の可能性
市のシンボル、ランドマーク、憩いの場として、市民皆が利活用できかつ誇りに思える施設・場所を構築する。その候補地としてリニューアル予定の商工会議所会館を検討する。
【背景】
多くのヨーロッパの都市にはまちの中心に境界や大聖堂、そして広場があり、市民が集って交流を深めると言われます。国内でも、城や街道など歴史的建造物や人の往来が盛んな
シンボル的スポットがあり、まちの活力の源になっている例が多くあります。一方、多面的に発展しているとはいえ、和がひたちなか市にはそうした「まちのシンボル」「憩いの場所」
が見当たりません。ひたちなか総合病院がコミュニティバス、あるいはコンパクトシティの基地的存在に位置付けられてはいますが、市民がだれでも集える憩いの場ではありません。
一方、ひたちなか海浜公園は国内外でも有数の大規模公園となり、ネモフィラやコキアの季節には大勢の観光客が訪れます。しかしながら、当地だけを観光して帰宅してしまい、ひたちなか市の旧市街地他への観光振興が課題になっています。
【提案】
「まちのシンボル的スポット」を構築します。そこには、市民が気軽に集える展望台(太平洋含め市内が見渡せると良い)、図書館、交流サロン、カフェやレストランなどが集結します。まちのランドマークタワーとして市民に広く開放され利活用されるものです。ICTを駆使するとともに、脱炭素化など環境配慮された設備(省エネ、犀星エネ、グリーン化など)を備えた最先端の建造物です。市内の文化遺産や観光案内を同居させるのも良いでしょう。音楽や芸能を披露できるスペースを設け、文化・芸術を楽しめる工夫も考えられます。防災・減災への対応力も兼備します。ひたちなか市へ来る観光客が楽しめるスポットとして位置付け、観光振興の目玉とできると期待されます。市のほぼ中心に位置し、市を支える産業の司令塔的存在の商工会議所会館、ここをリニューアルする際に、こうしたランドマークタワーへ変身させることが一案です。
【ランドマークタワーの目的】
・スマートシティのシンボル的存在
・デジタル化、グリーン化の中枢的機能
・自然や環境と調和した誇れる建造物
・市民皆が、心地よく、リラックスでき、安全・安心で幸せ感を味わえる存在
・ショッピング、エンタメ、スポーツ、食事、医療・福祉などが徒歩圏内で実現できるコンパクトでウォーカブルなまちの中心的存在
・文化と芸術に触れることのできる空間の提供
・シビックプライドの醸成・高揚
【コメント①】
計画の実現までには、規制や様々なしがらみがありその壁は厚いと推測されますが、デジタル化、脱炭素化、防災・減災、地方創生は政府も注力する緊急課題ですので、公的助成制度を最大活用するなどして着々と前進させることを望みます。また、市民・市内企業へのPRで寄付を募る、クラウドファンディング利用、など費用確保の手段は色々考えられます。
【コメント②】
商工会議所の辺は駅前からも近いし、周囲に色んな施設もある中心市街地的な機能をもった地域。上手に都市計画すると、活気づけられるし、観光客も多く訪問するスポットになり得ます。観光客の訪問データで、ひたちなか市は訪問先数がほぼ1回、(おそらく、海浜公園のみ)らしく、訪問先数の増加、滞在時間を増やすことが、観光満足だけでなく、消費活動
を刺激するのに必須と思います。勝田駅からの散歩道のような何本かのルート、歩いてみたくなるトレイルを整備するのです。旧来の小売店、飲食店、カフェなどの街並みに、美しい緑、咲き誇る花々、涼を呼ぶ噴水、目を楽しませるアート、自由に休憩して人との交流も可能なベンチや東屋、などを配置し、歩いて楽しいまちにします。そうすれば、表町や泉町、駅前付近の商店街のにぎわいを実現できるのではないでしょうか。
【コメント③】
市民からのアイデア公募やまちづくりのプロによるコンペも必要でしょうね。
【コメント④】
計画立案にあたっては、費用対効果が重要です。費用は最先端技術の利用でできるだけ削減すること、効果は、様々な機能や価値を創出、付加していくことが大事と思います。
【コメント⑤】
商工会議所のある地域は、ひたちなか総合病院、郵便局、市役所、警察署、親水性中央公園などが隣接していて市民が集まりやすいところですね。市民が憩える場所としての立地条件は大変良いと思います。昭和通りに面していますから、公共交通機関(バス)を利用して海浜公園やショッピングモールへの行き来にも好都合です。将来はこの路線にBRT(Bus Rapid Transit)を導入して海浜公園と勝田駅間の大量・定時運行を目指すべきですが、その際、この地域にターミナル的管理基地を設置することが考えられます。
【コメント⑥】
・ランドマーク施設と周囲のまちづくりには、市内移動システムの整備が欠かせないと思います。歩きやすく人にやさしいまちにするには、公共交通機関によるアクセス、自家用車のできるだけの排除がキーです。そうした取り組みの一つとして、以下の記事
を紹介します。
▽自動運転バス、社会受容への道筋(前編)
https://project.nikkeibp.co.jp/mirakoto/atcl/city/h_vol62/
▽自動運転バス、社会受容への道筋(後編)
https://project.nikkeibp.co.jp/mirakoto/atcl/city/h_vol63/
・茨城県南西部の境町で推進されている自動運転バス実証試験の経緯、現状、今後について。推進のスピリットや細かいノウハウなど満載で刺激を受けます。ここまで来れた原動力は何といっても橋本町長の指導力と果敢な挑戦意欲。次の記述が心に響きます。「橋本氏は『境町は借金の多い、何の変哲もない町だった。そこで、ここまで自動運転バスを活用できるようになるなら、全国どの自治体でも活用できるはず。できない理由を挙げるのではなく、できるようにするにはどうすればいいかを検討するようにしないと、これからの時代、自治体の存続は難しい』と、険しい表情を見せる。」要するに、何か新しいことを実現するには、リーダーの強い意志と牽引力が欠かせない、ということと理解できます。
【コメント⑦】
まちを歩きやすく、快適にしようとする「ウォーカブル・シティ」という理念について述べられた記事を紹介します。
▽モビリティ革命は都市をどう変える?
https://project.nikkeibp.co.jp/mirakoto/atcl/city/h_vol61/
まちを(高齢者含む多世代の)市民にやさしい形に変えていこうとするもので、ひたちなか市にもぜひ応用展開したい考え方だと思います。
さらにコメントをお寄せください。
以上 (7/1初版、8/10、8/19一部修正)
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