日本には「変化」が必要!
10年間の日本取材業務を終えたBBCの特派員が次のような記事を書いています[1]。日本は長い歴史を経て素晴らしい国になりました。しかし、1980年代以降は経済の停滞、人口減少、政治や社会の硬直化などの深刻な問題を抱えているとして、多くの事例を挙げて描写しています。そして、今後日本は、存在感が薄れ色あせていくのではないかと懸念し、「変化を恐れず受け入れること」の必要性を指摘します。
この記事について、国内では賛否両論あるのですが、世界中に拡散し、多くの読者の注目を集めているとのことです。本ブログでも何度か触れているように、様々な場面において「変化」、「改革」が求められているとの指摘には強く賛同できます。
ひたちなか市で予想外の変化が・・・
そんな中、ひたちなか市では全く予想だにしないことが起きています。市の呼び名を変更、つまり改名して再スタートしようという話です。停滞する行政、産業にカツを入れ、市民の本当の幸せの実現に向け、脱皮しようという考えであり、行政もついに取り組み姿勢を大きく変化させようとの動きと期待できます。その手始めに、まず名前を変えることから始めようとする意向のようなのです。以下、最新情報をお伝えしましょう。
ひたちなか市は、1994年に旧勝田市と旧那珂湊市が合併して発足しました。 この地が、「常陸国那珂郡」の歴史があったことに起因して名付けられたのですが、親しみやすく、書きやすく、他地域の人々にも伝えやすいことを理由にひらがな表記にしたとのことです。「勝田」という地名に愛着ある市民も多かったはずですが、当地が日立製作所の企業城下町でもあり、「ひたち」を受け入れたものと推測します。その後約30年が経過し、知名度はそれなりに上がってきていると思われます。それを改名するとすれば英断でしょう。
さて、一つ目の改名候補は、「ハイテクいなか」です。自然環境、田園風景、海などの資産に恵まれた居心地の良い地域であることを、やや自虐的に「いなか」と呼び、しかも最先端の工業都市でもある誇りを込めてハイテク」を頭に付したものです。また、ローマ字表記で、“Hitachinaka”の一文字、最初のaをeに変えるだけで、“Hi-tech-inaka”(hi=high)になるのです。既に始まっているデジタル社会をリードする気概が込められています。
もう一つの候補は、「ハイタッチいなか」です。ハイタッチというと、手のひらを高く上げてお互いにたたき合い、挨拶や称賛を示す行為を思い浮かべるかもしれません。しかし、“high touch”のもともとの意味は、人間による丁寧で人間らしい関係性や対応のことです。先進的な技術によって自動化された状態、つまりハイテクな状態との対比として用いられる用語です。機械的で冷たい関係性とは異なる、人間性を重視した暖かみのある対応と言えるでしょう。“Hitachinaka”は、そうした意味が込められたまさに“hi-touch-inaka”だとするものです。英語を母国語とする人に“Hitachinaka”を読ませれば、ハイタチイナカと発音するでしょうから、彼らには違和感はないかもしれません。
ひたちなか市の未来像を表現するにはどちらが適切でしょうか? 名は体を表すと言われますから、市が向かう方向性を内に秘めた名前は価値があるといえます。今現在、アンダーグラウンドで盛んに議論が進められているとの情報です。
「変わる」のを待つのではなく「変える」マインドを高めよう
一度決めた都市名を変更するなどということは聴いたことが無い、と思ったかもしれません。そうですよね。上の話は実は作り話です。4月1日を待ちきれず公表してしまいました。悪しからず。
とはいえ、30年もの間、停滞を続け没落への坂道を下り続ける日本は変わらなければならない、と懸念する人は相当の数に上るのではないかと思います。それは国内の地方自治体においても同じです。「総合計画」などといった自治体の近視眼的な将来計画も、時代の急速な変化に対して置き去りにされ、色あせていることを認識すべきです。
政府はこの窮地を脱するために様々な施策を講じようとしていますが、どれほど期待できるでしょうか? 地方都市はそれぞれに課題を吸い上げ、独自のアイデアでそれを乗り越えていくことが求められます。改名して再出発などと奇抜なことを述べましたが、積極的、自発的に現状を変え、より良い未来へ向けて変えるべきところは変えていってほしいと心から願う意志の表れと理解してください。例えばひたちなか市においては、令和7年(2025年)までをカバーする第3次総合計画後期基本計画が施行されていますが、その次の10年を見据えてビジョンの策定を始めなければならないことを指摘したいと思います。。
不透明な時代にあって、どこへ向かうべきか簡単に結論は出ないかもしれません。それなら市民と一緒に考えていきましょう。我々グループも何等かのお手伝いができます。若手の皆さんを集め、プロジェクトで推進することも考えられます。定型業務はロボットが対応できる時代になっています。行政の皆さんはロボットにはできないことに集中すべきです。市民との丁寧な対話を通じ、現状を深く理解して、課題を真に明確化すること、未来の姿を描き、そこに向かう道筋・アイデアを模索・創造し、市政へ反映させる、などの知的生産活動へ向き合ってほしいと考えます。
まとめ
別ブログ(「ローカル情報チャンネルでひたちなか市をもっと住みやすいまちにしたい!」、「人工知能(AI)が都市の未来像を描く?」)でも示しましたが、「危機において、強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ。(ダーウィン)」なのです。現状の問題に気づき、未来のより良い(well-being)姿、ビジョンを描き、そこに向けて「変えていく」マインド、勇気を切に期待します。
■参考資料
[1]日本は未来だった、しかし今では過去にとらわれている BBC東京特派員が振り返る
2023年1月22日
ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ、BBC東京特派員
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64357046
以上
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