■Chat-GPTがもたらすこと:まちづくりへの適用の試み

 

 最近メディアを騒がせている対話型AI(人工知能)Chat-GPTを試しに使ってみましたので、結果と感想などをお伝えします。Chat-GPTとは何か、についてはインターネット上に多数の解説記事がありますので、ここでは省略します(参考記事の一例[1]を末尾に示します)。

 

 使ってみた印象は、評判通り「すごい」「衝撃的」と感じざるを得ないものでした。AI技術が急速に進化していることは認識していましたが、その恩恵がここまで早く一般大衆にもたらされた事実はただ驚きです。前置きは飛ばして早速結果を紹介します。まず、取り掛かりとして、素朴な疑問を投げかけてみました(Q1Q2)。なお、この試用は202322627日に実施したものです。また以下の文章中、下線部は筆者の質問文、イタリック体はChat-GPT君の回答です。

 

Q1あなたの回答を私のブログに掲載しても良いですか?

 

A1:はい、私の回答をあなたのブログに掲載していただいて構いません。ただし、引用元として「ChatGPTによる回答」と明記していただくことをお勧めします。また、私が提供する情報は時代や状況によって正確でなくなる可能性があるため、最新の情報を確認することをお勧めします。

 

Q2.本日あなたが答えられない質問はありますか?

 

A2:は言語モデルとして訓練されており、可能な限り幅広いトピックに対応するように設計されていますが、完全に答えられない質問がある可能性があります。また、私が提供する情報は私が学習した範囲内でのものであり、私自身の意見や主観的な見解は反映されません。ご了承ください。

 

 どうでしょう。正しい日本語で、論旨もしっかりした文章であることに驚きます。次に、私たちが普段話題にするトピックスについて軽くジャブを打ってみました(Q3Q4)。

 

Q3:SDGsで最も深刻な問題は?

 

A3:持続可能な開発目標(SDGs)に関連する最も深刻な問題を単一で特定することは困難です。SDGsは、経済、社会、環境の3つの柱にまたがる17の目標から構成されており、それぞれが世界中の異なる地域で異なる優先順位を持っています。以下は、いくつかの重要な問題の例です。

 

貧困:SDGsの最初の目標は、世界中で極度の貧困を撲滅することです。約8億人がまだ極度の貧困に苦しんでおり、特に発展途上国では深刻な問題です。

 

栄養不良:約8億人が栄養不良に苦しみ、特に子供たちは成長と発達に影響を受ける可能性があります。SDGsの第2目標は、飢餓を撲滅し、栄養不良を終わらせることです。

 

教育:教育は、人々が自分自身の生活を向上させ、貧困を脱出するために必要な能力を得るために重要です。しかし、世界中で依然として約2億人が教育を受けられず、特に女性や貧困層の子供たちが影響を受けています。

 

気候変動:SDGsの第13目標は、気候変動に対処することです。世界的な平均気温が上昇し、異常気象現象が頻繁に発生するようになっています。これにより、自然災害のリスクが高まり、特に低所得国や小島嶼国などの脆弱な地域で被害が深刻化しています。

 

これらはSDGsの中でも特に深刻な問題の例ですが、他にも様々な問題があります。SDGsの達成には、持続可能な開発に向けた総合的なアプローチが必要であり、政策立案者、国際機関、民間企業、市民社会など、すべての関係者の協力が不可欠です。

 

Q4:高齢運転者による交通事故を無くすためにはどのような施策が必要ですか?

 

A4高齢者の運転による交通事故を減らすためには、以下のような施策が考えられます。

 

1.運転免許の更新制度の見直し:高齢者の運転能力が低下している場合に、運転免許の更新時に再度運転能力検査を実施することで、高齢者による交通事故のリスクを低減することができます。

 

2.高齢者向けの運転講習の実施:高齢者向けの運転講習を実施することで、運転技術や交通安全についての知識を再確認することができます。

 

3.高齢者向けの自動車の選択支援:高齢者が運転しやすく、安全性の高い自動車を選ぶための情報提供や支援を行うことで、交通事故のリスクを低減することができます。

 

4.公共交通機関の整備:高齢者が自動車に頼らずに、公共交通機関を利用することができる環境を整備することで、高齢者による交通事故のリスクを低減することができます。

 

5.交通環境の整備:歩道や横断歩道の整備、信号機の設置など、高齢者が安心して交通を利用できる環境を整備することで、高齢者による交通事故のリスクを低減することができます。

 

これらの施策を総合的に実施することで、高齢者による交通事故を減らすことができます。

 

 優等生的な回答には驚くしかありません。高齢者運転対策には、公共交通機関や道路の整備がきちんと盛り込まれています。ここで、まちづくりの核心の一つである公共交通機関に注目し、「人口15万人くらいの地方都市の公共交通機関はどうあるべきか」について、そのまま直球を投げてみました。これには何故かエラーが発生してしまったのですが、英文で質問したところ回答が得られました(Q5)。

 

Q5What should public transportation be like in a local city with a population of about 150,000?

 

A5:Public transportation in a city with a population of 150,000 should be designed to meet the needs of residents and commuters in the most efficient, affordable, and convenient way possible. Here are some considerations that should be taken into account:

 

1.Adequate coverage: The public transportation system should provide adequate coverage throughout the city to ensure that people can access all parts of the city with ease.

 

2.Frequent service: The service should be frequent enough to make it convenient for people to use public transportation as their primary mode of transportation.

 

3.Affordable pricing: The pricing should be affordable to encourage people to choose public transportation over private vehicles. The pricing should be competitive with other forms of transportation like taxis or ride-sharing services.

 

4.Accessible infrastructure: The public transportation system should be designed to be accessible for everyone, including people with disabilities, the elderly, and families with strollers.

 

5.Clean and safe: The system should be clean and safe, providing a comfortable and secure environment for passengers.

 

6.Use of technology: The system should leverage technology to make it more efficient and convenient for passengers. For example, real-time information on schedules, mobile ticketing, and trip planning apps can all be used to improve the user experience.

 

7.Sustainable: Public transportation should be designed to be environmentally sustainable. It should use clean energy sources and be designed to reduce carbon emissions.

 

Overall, the goal of public transportation in a city of 150,000 should be to provide reliable, efficient, and affordable transportation options that meet the needs of residents and commuters while also being environmentally sustainable.

 

 ほぼ100点満点の回答だと思います。地方都市の公共交通機関のあるべき姿がほとんど網羅されていると感じます。素晴らしい! 次に、関連する質問を投げてみました(Q6)。

 

Q6:地方都市において自家用車保有台数を削減する方策を教えてください

 

A6:地方都市において自家用車保有台数を削減するための方策は以下のようなものがあります。

 

1.公共交通機関の整備

地方都市においては、公共交通機関の整備が不十分な場合があります。公共交通機関を充実させ、利便性を高めることで、自家用車に頼らなくても生活が送れるようになります。

 

2.自転車や徒歩の利用促進

自転車や徒歩を利用することで、自家用車を必要としない生活を送ることができます。そのため、自転車道や歩道の整備、駐輪場の整備などを行い、自転車や徒歩の利用を促進することが重要です。

 

3.カーシェアリングの普及

カーシェアリングは、車の共同利用により、自家用車を持たなくても必要な時に車を利用できるシステムです。地方都市においても、カーシェアリングサービスを提供することで、自家用車の保有台数を削減することができます。

 

4.駐車場の制限

自家用車を所有する人にとって、駐車場の確保は重要な問題です。地方都市においては、駐車場の制限を行うことで、自家用車の保有台数を削減することができます。例えば、住宅地域においては、住宅毎に駐車場の台数を制限するなどが考えられます。

 

5.環境意識の向上

自家用車を所有することは、環境に与える影響が大きいことが知られています。地方都市においても、環境保護の意識を高め、自家用車を必要最低限に抑えることが求められます。自治体による啓発活動や、環境に配慮した交通政策の実施などが考えられます。

 

 これも素晴らしい回答です。そのまま行政に投げかけても違和感は無いと思われます。今回最後に、その行政に検討いただきたい課題について聞いてみました(Q7)。直球勝負です。

 

Q7:日本の地方自治体における行政改革の課題は何ですか?

 

A7:日本の地方自治体における行政改革の課題は以下のようなものが挙げられます。

 

1.人口減少・高齢化への対応

日本は人口が減少し、高齢化が進んでいます。このため、地方自治体は、行政サービスを維持しながら、人口減少・高齢化に対応することが求められます。具体的には、人口減少に伴う地方交付税の減少、高齢者の介護費用の増加などが挙げられます。

 

2.行財政の健全化

地方自治体は、自己財源の確保や歳出の抑制などを通じて、行財政の健全化が求められています。しかし、自治体の財政難は深刻で、中小自治体では財政悪化が進んでいる場合もあります。このため、行政サービスの見直しや、地方交付税の使途の見直し、地方債務の削減などが必要です。

 

3.行政サービスの質の向上

地方自治体は、住民サービスを提供する公共機関です。行政サービスの質を向上させるためには、効率的な行政システムの確立、地方自治体職員の能力向上、IT技術の活用などが必要です。

 

4.地方分権の進展

地方分権の進展は、行政改革の重要な課題の一つです。地方分権が進むことで、地方自治体がより自律的な行政を行い、地域の課題に適した政策を実施することが可能となります。しかし、地方分権が進むことで、行政の効率性や公平性に影響が出ることもあるため、バランスの取れた地方分権の進展が求められます。

 

5.防災・減災への対応

自然災害は日本にとって深刻な問題です。地方自治体は、防災・減災に取り組むことが求められています。具体的には、災害時の避難所の確保、防災情報の発信、耐震化の推進などが必要です。

 

 いかがだったでしょうか? いずれも申し分のほとんどない、完成度の高い回答だとあらためて感じます。従来から、何か疑問や課題があればGoogleなどの検索エンジンを用いて自分で調査し、結果を整理、論旨を通して文章化する、といった作業を必要としました。しかし、これからはそうした作業が一変するでしょう。

 

ただ、ChatGPTはすごいツールですが、いまだその機能は完成までの途上にあり、信頼しきれるようなレベルには至っていないと言われます。Chat-GPTはインターネット上の情報を集めてきて回答するために、そもそもインターネットに出回っていない情報などについては、正確な回答をすることができないのです。実際、今現在の情報は2021年までであり、最新のデータは反映できません。

 

しかし、ChatGPTはまだ市場にリリースされたばかりであり、今後もその精度、性能は上がっていくものと期待されます。そうなれば、ホワイトカラーのほとんどの仕事がなくなっていく社会が到来する可能性があります。

 

本ブログでは、「まちづくり」という特定のテーマについてChat-GPTの適用を試みました。結果、十分に参考にできる回答が得られることを確認しました。今後、もっと幅広くこのツールの活用を試みたいと考えています。いつの日か、このブログもAIによって書かれ、それがAIによって書かれたとは認識できないものになっているかもしれません。

 

 

【参考資料】

[1]Chat(チャット)GPTとは?使い方の例、できることは何?仕事がなくなるってホント!?

https://sogyotecho.jp/chat-gpt/

 

 

 以上