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■公共交通について政府はどう取り組もうとしているのだろうか?

はじめに

 私たちグループではこれまで、市内移動システム、公共交通改革に関する現状、課題、解決策案などについて取り上げ、ブログの形で考えを述べてきました。20227月には、県内の新しい交通のカタチに関する講演会を開催し、本市の公共交通の将来について議論しました。前回のブログでは、本市のような地方都市における公共交通のあるべき姿やその実現に向けた対応策を、対話型AIに提言してもらいました。

 

 このブログでは、地域の公共交通の在り方について、主に国土交通省の動向・政策概要を調べ、公共交通に対する国レベルの取り組み方を整理して報告します。茨城県の動向についても触れます。

 

公共交通の在り方について国はどう捉えているのか?

 

. 国土交通省:交通政策審議会 交通体系分科会地域公共交通部会

~地域公共交通の「リ・デザイン」の実現に向けた新たな制度的枠組み等に関する基本的な考え方~

令和5年6月30日

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001617741.pdf

 

 この報告書は、地域公共交通部会(部会長 山内弘隆 一橋大学名誉教授、令和4年10月より4回開催)にて審議の結果取りまとめられたものです。これまでの交通政策の変遷と地域公共交通の現状、対応の方向性、さらなる課題について述べられています。地域の公共交通に携わる方々は一度目を通しておくことをお勧めします。

 

 要点を以下に列記します。

1)   地域公共交通の主な課題は、少子高齢化や人口減少による利用者数減少、および運転手不足、バス路線の減便など。

2)これに対し、以下のような施策が提案されている。

 -利用者増大:利用者向けのサービスの充実、情報提供の充実、運賃の見直しなど

 -地域公共交通運営効率化:運行の合理化、車両の共同利用など

 -地域公共交通を支える人材育成:運転手や整備士の育成など

3)これらの施策により、地域公共交通の利用者増大だけでなく、地域住民の生活をより便利に、より豊かにし、地域の活力向上につなげることを目指す。具体的には以下。

 -地域公共交通を活用して、買い物、通院、教育、観光などのサービス提供を図る。

 -地域公共交通を活用して、地域住民の交流やコミュニティの活性化に寄与。

 -高齢者や障がい者の移動支援を図る。

 -地域公共交通を活用して、学校や幼稚園への送迎サービス提供し、子育て家庭の負担を軽減する。

 -地域公共交通を活用して、観光客向けのツアーやイベントを開催するなどして、地域を活性化する。

4)これらの実現には、地域住民や事業者の参加、協力が必要。

 

 本報告書で述べられている「今後のさらなる課題(中長期的課題)」では、重要なことが指摘されているので、以下に要点を列記します。

1)   交通空白の解消に向けた改善策

・交通空白の解消に向け、タクシーやデマンド交通などの利用を促進し、地域交通サービスの持続性と利便性の向上を図る。

2)交通データの収集と利活用

・現状ではデータの収集や共有が十分に進んでおらず、システム開発にも課題あり。

・今後は、データの共有や活用を可能とする仕組みを整え、地域経営と公共交通の質向上を図ることが重要

3)地域活性化の様々な政策との連携

・公共交通ネットワークを活用したコンパクトシティの実現、デジタル田園都市国家構想など、地域活性化の様々な政策と連携し、交通の「リ・デザイン」を通じて地域や社会を形作る。

4)人材の育成と確保

・地域公共交通の「リ・デザイン」を推進する人材の育成と確保が重要。

5)地域の公共サービスの一体的運営

・地域の公共交通を維持・発展させるため、多様な視点からの取組みが必要。

6)   公共交通の位置づけ

・公共的な価値、サービス水準と受益と負担などの点で、公共交通の位置づけを明確にし、その公共性を高める必要がある。

7)   安定的財源の確保 

・公共交通の安定的財源確保のため、利用者負担以外の新たな仕組みを検討する必要がある。

 

. 国土交通省:地域の公共交通リ・デザイン実現会議

https://www.mlit.go.jp:8088/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000212.html

資料2  地域の公共交通を取り巻く現状と検討の視点・課題(国土交通省資料)

https://www.mlit.go.jp:8088/sogoseisaku/transport/content/001631603.pdf

 

内閣府が推進する「デジタル田園都市国家構想実現会議」の下に「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」(議長:斉藤国土交通大臣)が立ち上げられ、第1回会議が9月6日に開催されました。Ⅰ.で紹介した地域公共交通部会報告書が本会の基礎に位置づけられていると考えられます。公開資料の中でとくに、「資料2 地域の公共交通を取り巻く現状と検討の視点・課題(国土交通省資料)」は、現状がよく分析されていて大変参考になります。

 

本資料では、将来の人口減少、少子高齢化の進展に伴う地域の公共交通の問題、ひいては、国民の移動やQOLに危機的な状況が予測されることをデータから示します。こうした課題への向き合い方、今後の方向性について、取るべき視点や検討の方向性を提示しています。具体的には、以下の4つの類型(カテゴリー)に分けて、取組の方向性や必要な施策を検討していて注目に値します。

 A 主に中小都市、交通空白地など

 B 主に地方中心都市など

 C 主に大都市など

 D 地域間

 

 全国の多くの自治体について、現状と取り組み策を調査、分析した結果を整理したもので、大変有用です。本市は類型Bの要素を持ちながらも基本的には類型Aに分類されると考えられます。類型Aについて以下に引用します。

 

現況

〇 人口減少による過疎化・高齢化が著しく、学校や病院の統廃合、商店の廃業等により日常生活における「足」の問題が深刻化。

〇 交通事業者によるサービス提供が著しく不足・困難な地域においては、行政・NPO法人等が移動サービスを補完・主導。

 

取り組みの方向性(案)

〇 地域にある資源(人材、車両、施設)を最大限に活用し、当該資源のマルチタスク化を図る。

〇 自家用車による旅客サービス(自家用有償旅客運送)の更なる活用を図る。

〇 デジタルを活用したコンパクトな移動サービス(AIオンデマンド交通、自動運転等)の提供を推進する。

〇 エネルギーの地産地消やエネルギー収益の公共交通への活用等を通じて、地域内経済循環を図る。

〇 免許を返納した高齢者が安心して利用できる新たなモビリティの開発を推進する。

 

 取り組み事例として、茨城県常陸太田市(人口:約5万人)、宮崎県西米良村(人口:約1千人)、北海道上士幌町(人口:約5千人)、岩手県宮古市(人口:約4.7万人)などが紹介されています。

 

常陸太田市では、路線バス、コミュニティバス、通院バス、スクールバスが異なる

サービス水準で重複運行し、公的負担の増加が課題でした。それに対し、路線バスに統合(混乗化)することで乗車密度を改善し、輸送に係るリソースの効率化と公的負担抑制を実現したとのことです。

 

また宮崎県西米良村では、人流・物流サービスが個別バラバラに提供されていましたが、福祉送迎・買い物支援・貨客混載を新たにデマンド運行する公営バスで一体的に提供する対策を取りました。これにより、各分野の移動・送迎を集約し、運送負担を軽減しました。人流・物流サービスの拠点となるバスターミナルには、商工会、JAなどを併設し、人が集う拠点(モビリティ・ポイント)として整備し、効果を上げているとのことです。

 

 類型Bについては、参考とすべき取り組みの方向性についてのみ示します。

 

取組の方向性(案)

〇 交通事業者の連携・協働を図る。

〇 自家用車を使用した輸送(病院、学校、福祉施設等)における交通事業者の活用等、当該輸送サービス提供者と交通事業者の

連携・協働を図る。

〇 交通結節点の機能強化を含め、「コンパクト・プラス・ネットワーク」の考え方に沿ったまちづくりを推進する。

〇 デジタルの活用による輸送サービスの効率化と高質化の両立を図る。

 

 いずれの事例、今後の方向性を見ても、関係事業者間の連携、協働が必須であり、行政がそれをけん引していくことが決め手であると考えられます。

 

. 令和6年度国土交通省概算要求

https://www.mlit.go.jp/page/content/001625442.pdf

 

 政策の実現には財政の裏付けが欠かせません。そこで、8月末日に各府省から令和6年度(2024年度)概算要求が提示されましたので、国土交通省の状況について簡単に報告します。

 

 令和6年度国土交通省概算要求の基本的考え方における取組方針は、(1)国民の安全・安心の確保、(2)持続的な経済成長の実現、(3)個性をいかした地域づくりと分散型国づくり、の3つの柱から構成されています。ここで取り上げているテーマ、まちづくり・公共交通・モビリティ」、は大半が主要方針(3)に包含されています。事業目的、事業課題、予算額などについて概算要求書から抜粋したものを、参考のため末尾に添付します。

 

 結果を概観してみると、気候変動、脱炭素、防災・減災、観光振興、地域づくり、まちなか再生、バリアフリー、グリーンインフラ、デジタル田園都市、新モビリティ、移住促進、こどもまんなか、など様々な側面から助成事業が計画されていることがわかります。とくに、前項で述べた、公共交通のリ・デザインというテーマが継続的に予算化されていることは注目に値します。

 

 今後、財務省審議を経て今年度末(2024.3)までには国会を通過する運びとなります。同時に、各府省において、事業の詳細、公募方法など詰められていきます。地域の公共交通改革のためには、政府の助成事業を適切に活用することが求められます。推移を注視していきたいと思います。

 

茨城県は公共交通問題にどのように取り組んでいるのか?

 

.  茨城県 令和5年度第1回交通計画分科会

https://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/kotsuseisaku/chiikikoutsu/documents/11_r5_1_keikakubunkakai_shiryou.pdf

 

茨城県では、地方公共団体、交通事業者、利用者の代表等からなる「茨城県地域交通政策推進協議会(下に交通計画分科会及びバス対策分科会)」を設置し、地域公共交通計画、バス路線の休廃止、地域間幹線系統、広域交通ネットワーク、などに関することを協議しています。本資料は、令和5年4月 13 日開催の第1回交通計画分科会の報告です。これまでの経緯、上述した国の動向など含め、県の取り組みの現状、参考事例、今後の方向性がまとめられています。注目すべき記述を以下に列記します。

 

・地域交通を延命するという発想でなく、先端技術や投資を取り込んで地域を変革しようとする視点が必要。

・具体的には、自動運転や MaaS などの「交通DX」、車両の電動化や再エネ地産地消などの「交通 GX」、により、利便性・持続可能性・生産性が向上する形に地域交通を「リ・デザイン」していく取り組みが必要。

・地域交通のリ・デザインにあたっては、まちづくり政策との融合及び予算事業等による一体的支援が必要であり、これらを通じ、コンパクト・プラス・ネットワークの取組をさらに進化させていくことが重要。

・「活力があり、県民が日本一幸せな県」を支える持続可能な広域交通ネットワークの構築を目指す。

・ 関係者が役割を分担し、主体的な取組と協働により、地域全体で支える。

・地域の輸送資源の総動員やデジタル技術の活用により、利便性を向上させる。

・地域公共交通計画と立地適正化計画を連携させ、まちづくりと一体とした公共交通施策を推進する。公共交通の沿線に商業・医療・教育施設等の都市施設を誘導し、公共交通利用のニーズを高めるなどが考えられる。

・自家用車から公共交通への転換を促進するため、バスと鉄道の連携、乗り継ぎ改善などによる利便性向上、および車に依存したライフスタイルを見直し、歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりを目指す。そのため必要な公共交通の実証実験等に取り組む。

・市町村の地域公共交通活性化協議会等を活用し、活用可能性のある輸送資源の把握や既存の輸送資源の機能強化と見直し、および企業バス等の一般混乗化、貨客混載など新たな交通の仕組みづくりを検討する。

・カーボンニュートラルに資する、燃料電池車両や EV バスについて、今後の導入促進に向けて交通事業者と検討継続する。

・県、市町村、交通事業者などの関係者で構成する「茨城県公共交通活性化会議」を活用して、関係者が連携して公共交通の利用促進に取り組むとともに、県民や事業所の公共交通に対する意識醸成に努める。

・乗継ダイヤの改善、案内表示や待合空間、駐輪場等の整備、乗継切符や共通フリー切符の導入など、主要拠点において交通機関相互の円滑な乗り継ぎが可能な環境を整備する。

・交通施設のユニバーサルデザイン化、バリアフリー化を推進する。バリアフリーマスタープラン等の策定、バリアフリー対応車両を所有する交通事業者の情報発信を推進する。

 

まとめ

 

 国と県が推進する地域公共交通政策の現状と課題について概観しました。少子高齢化、人口減少などに起因する様々な社会課題に対処し、地方を活性化するために幅広く多様な施策が講じられていることを再認識できました。

 

 政府も経済成長の持続的実現のための看板政策の一つとして、デジタル技術を活用して地方の活性化を目指す「デジタル田園都市国家構想」を掲げています。まちづくりや公共交通機関ネットワーク構築をデジタルの力で前進させようとするものです。国民皆が幸福(ウェルビーイング)で豊かに暮らすための政策の柱と言えるでしょう。

 

 ただし、地方においては実情に合わせた対応策を、自治体、関係者、市民、識者などが連携して、建設的に創生していく必要があります。先行事例を参考にするなどして、産学官連携による政府助成事業の活用も重要と考えられます。

 

 政策の実現には、大義と意志が必要とされます(小池東京都知事)。大義については上述した通りで、目標や思索を明確にし、判りやすく説明することが求められるでしょう。意志は関与する人間のやる気、情熱と言えます。関係者それぞれが自分の役割を自覚し、率先して取り組む姿勢が肝要です。次世代のために、地域の公共交通改革が進展することを切に願うとともに、本ブログの掲載内容が少しでも役立てば幸いです。

 

以上

 

 

【参考】令和6年度国土交通省概算要求からの抜粋

(「まちづくり・公共交通・モビリティ」に関連する事業)

[ ]内数値は予算額、億円表示、( )内数値は今年度予算からの倍率。また、項目名頭の英数字は概算要求書と一致させています。

 

2.持続的な経済成長の実現

(2)脱炭素社会の実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)の推進 (P.22)

(b)グリーンインフラ、まちづくり GX 等のインフラ・まちづくり分野における脱炭素化の推進[229 億円(1.43)

自然の持つ多様な機能を活用するグリーンインフラ等のインフラの活用、都市における緑地の確保やエネルギー利用の再エネ化・効率化等を進めるまちづくり GX の推進を図るなど、インフラ・まちづくり分野における脱炭素化を推進する。

・ グリーンインフラ官民連携プラットフォームの活動拡大

・ 安全・安心、Well-being 向上、コミュニティやビジネス機会創出に向けたあらゆる分野・場面におけるグリーンインフラの社会実装の推進

・ エリア一体での脱炭素化、グリーンインフラの社会実装、都市の緑地に対する民間投資の促進、地方公共団体等による緑地の保全・整備の推進、環境への負荷を軽減する民間都市開発等の支援

・ 企業等による河川環境を向上させる取組の推進に向けた認証制度の創設

・ 生態系ネットワーク形成に寄与するグリーンインフラの推進

・ 渋滞対策などの道路交通の円滑化等による低炭素な道路交通の推進

・ 循環型社会・サーキュラーエコノミーに対応した建設資材の再資源化の推進

・ 上下水道一体での研究開発による資源循環の推進

・ 建設施工の脱炭素化の推進

・ 道路における再生可能エネルギーの活用や道路照明の省エネ化、高度化

・ インフラ等を活用した太陽光発電等の地域再エネの導入・利用の拡大

・ 下水道事業における革新的技術実証やバイオガス発電等による脱炭素化、下水汚泥資源の肥料利用の推進

・ ハイブリッドダムの取組による水力発電の導入・増強を通じた再生可能エネルギー供給の拡大

・ 既設砂防堰堤を利用した小水力発電による再生エネルギーポテンシャルの有効活用の推進

・ 河川舟運の活用や河川管理施設の無動力化による脱炭素化の推進

 

(c)自動車の電動化等の促進 [38 億円(1.21)

自動車の電動化等の促進に向けた支援策を強化するとともに、自動車の電動化等に対応した道路インフラの社会実装に向けた検討を行う。

・ 地域公共交通の再構築やインバウンド推進等に資する先進車両の導入の支援

・ 次世代自動車に対応した道路における充電・充填インフラ設置への協力

 

(4)持続可能な観光の推進 (P.30)

(a)持続可能な観光の推進 [236 億円(2.37)

我が国の成長戦略の柱、地域活性化の切り札である観光について、持続可能なあり方で、全国あまねくその効果を広めるべく、観光産業の「稼げる」産業への変革を進めつつ、持続可能な観光地域づくりや地方を中心としたインバウンド誘客、国内交流拡大に戦略的に取り組む。

(持続可能な観光地域づくり)

・ 地域の持続可能な観光地域づくりの支援

・ 観光DXを通じた先進的な観光地の創出

・ 地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化等の支援(地方を中心としたインバウンド誘客の戦略的取組)

・ 戦略的な訪日プロモーションの実施

MICE誘致の促進

・ 双方向交流拡大等への支援

・ 航空・空港関係事業者の人材確保・育成等の推進、空港機能の効率的投資・運用に向けた取組推進、旅客の利便性向上のための受入環境高度化等

・ 安心してクルーズを楽しめる環境づくりの推進

(国内交流拡大)

・ 新たな交流市場・観光資源の創出

 

3.個性をいかした地域づくりと分散型国づくり

(1)共生社会実現に向けたバリアフリー社会の形成と活力ある地方創り (P.37)

(a)地域公共交通や観光地・宿泊施設等のバリアフリー化の推進とユニバーサルデザインのまちづくりの実現 [333 億円の内数]

誰もが安心して暮らし、快適に移動できる環境を整備するため、鉄道駅や地域公共交通、観光地・宿泊施設等のバリアフリー化を推進する。また、全ての人に優しいユニバーサルデザインのまちづくりを実現するため、幅広い世代が利用する駅前広場や公園施設等のバリアフリー化を推進する。

・ 全ての利用者の安全性向上を図るためのホームドアの更なる整備等の促進

・ ホーム拡幅等の駅改良やバリアフリー施設等の整備による駅空間の質的進化の推進

・ 高齢者等の移動円滑化のためのノンステップバスやUDタクシー等の導入等に対する支援

・ 観光地・宿泊施設等のバリアフリー化による誰もが安心して旅行を楽しめる環境整備の推進

・ 心のバリアフリーの普及・啓発に向けた、障害者等用施設の適正利用の推進やモデル的な取組の調査の実施

・ 駅前広場等のバリアフリー化や都市公園におけるユニバーサルデザインの推進

・ 歩行空間における移動支援サービスの普及・高度化

 

(b)空き家対策、所有者不明土地等対策及び適正な土地利用等の促進 [98 億円(1.38)

空き家・所有者不明土地等の適正かつ効果的な活用により地域の生活環境の維持・向上を図り、魅力・活力のある地域の形成を推進する。

・ 空き家の活用や除却等への総合的な支援の強化

・ 空き家対策促進に向けた環境整備から事業実施までの各段階に応じたモデル的な取組への支援

・ 空き家対策における DX の推進

・ 所有者不明土地等の円滑な利活用・管理を図るための仕組みづくりに対する支援の強化

・ 空き家等の流通活性化に向けた環境整備の推進

・ 住宅団地における良好な居住環境の確保・再生を図る取組への支援

・ マンションの管理適正化と再生の円滑化の推進

 

(2)デジタル田園都市国家構想の実現に資する分散型国づくりや持続可能な地域

活性化

(a)新たな国土形成計画の推進 [2 億円(1.37)

新たな国土の将来ビジョンとして「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げ、「シームレスな

拠点連結型国土」の構築を図る新たな国土形成計画(令和5年7月閣議決定)を実効的に推

進していくため、広域地方計画の検討・策定作業を進めるとともに、新しい資本主義やデジ

タル田園都市国家構想を踏まえつつ、人口減少下においても地方において人々が安心して暮

らし続けることができる社会の実現に向けた取組を推進する。

・ 新たな国土形成計画の重点テーマの推進

・ 新たな広域地方計画の策定・推進

・ 人口減少下での適正な土地の利用・管理を進める「管理構想」の全国展開

 

(b)地方への人の流れを創出する移住等の促進 [2 億円(皆増)

新たな国土形成計画に掲げる「新時代に地域力をつなぐ国土」を実現するため、移住等をとりまく各段階での課題に対応した施策を講じ、地方への人の流れを創出する移住・二地域居住等の促進を図る。

(情報を得る、地域とつながる)

・ 移住等の先導的な実証事業や地方公共団体の計画策定等に対する支援

・ 二地域居住に関する情報提供の推進や、離島等での定住促進に資する情報発信等への支援

・ 反復継続した来訪を促進するための第2のふるさとづくりの推進

(住まい、仕事を探す)

・ 空き家の活用等による移住環境整備の強化

・ 都市における移住等の促進に資するコワーキングスペース等の整備の強化

・ 離島等における定住住宅・シェアオフィスの整備等による移住・二地域居住の環境整備の強化

・ 移住等の促進に資する広域・官民連携での基盤整備の推進

(移住する)

・ 移住者に対する住宅取得支援の強化

・ 都市における移住等の促進に資する地域交流センター等の整備の強化

・ 離島における交流施設の整備に対する支援の強化

・ 地域公共交通の「リ・デザイン」等に対する支援

 

(c)コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくりの推進 [863 億円(1.15)

地域の生活機能の誘導・集約や防災指針を軸とした防災・減災を推進するとともに、多様なライフスタイルを支えるコンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくりを推進する。

・ 防災・減災を主流化したコンパクトシティの更なる推進

・ ウォーカブルなまちづくり、まちの資源利活用によるエリア価値の向上に対する支援

・ 持続可能な都市圏を目指したまちづくりの深化

・ 歩道や路肩等の柔軟な利活用や「人中心の道路空間」の実現等による「多様なニーズに応える道路」

の推進

・ まちなかの再生や域外から稼ぐ産業の集積等を通じた地方都市等の再生

 

(d)個性ある多様な地域生活圏の形成 [241 億円(1.04)

デジタルとリアルが融合した「地域生活圏」の構築のためのモデルケースを創出するとともに、多様な公園緑地の整備や、固有の歴史・景観資源の活用等により、安全で魅力ある地域づくりを進める。

・ デジタルとリアルを融合して地域の諸機能の維持・向上を図る「地域生活圏」の構築

・ 官民が連携した公園緑地等の活用を通じた都市の防災・減災対策等の推進

・ 国営公園等の整備・活用、都市の緑地や農地、歴史・景観資源等を活かしたまちづくりの推進

・ 水源地域における交流促進、産業振興等の推進

・ 公衆衛生の確保や地域活性化のための下水道の未普及対策等の推進

 

(e)スマートシティの社会実装の加速 [10 億円(2.07)

デジタル田園都市国家構想の実現等に向けて、新技術や官民データを活用して地域の課題解決、新たな価値の創出を図るスマートシティの実装の加速化を図るとともに、その基盤となる 3D 都市モデルの整備等を推進する。

 

(f)次世代モビリティの普及促進 [269 億円の内数]

ポストコロナにおけるヒト・モノの移動ニーズの変化に対応するため、デジタル田園都市国家構想の実現に資する AIIoT 等の新技術を活用し次世代モビリティの普及等を促進する。

MaaS・自動運転の社会実装の推進

・ 道路空間における新たなモビリティサービスの利用環境の整備

・ 道路交通の課題の解決を目指した革新的な技術を活用した次世代の ITS の推進

・ 無人航空機(ドローン)の利用拡大に対応した環境整備の推進

・ 「空飛ぶクルマ」の社会実装に向けた環境整備の推進

・ スタートアップ支援に向けた交通運輸分野の優れた技術開発・国際標準化の推進

 

(g)地域・拠点の連携を促す道路ネットワークの整備 [4,499 億円(1.19)

分散型国づくりへの転換を図るとともに、デジタル実装した社会を支え、人流・物流の円滑化・活性化を図るため、地域・拠点をつなぐ道路ネットワークを整備する。

・ 地域・拠点をつなぐ高速道路ネットワークの構築

IC や空港・港湾等へのアクセス道路の整備に対する安定的な支援

・ スマートICの活用による地域の拠点形成や民間施設との直結による産業振興の支援

・ 高速道路SAPAの機能高度化の推進

・ 防災拠点化やモデルプロジェクトの取組等「道の駅」第3ステージの取組の推進

・ バスタプロジェクト(集約型公共交通ターミナル)の推進

 

(h)地域の暮らしと産業を支える港湾整備の推進 [1,583 億円(1.20)

デジタル実装した社会を支え、民間投資の誘発、雇用と所得の維持・創出を図るため、地域の暮らしと産業を支える港湾の整備を推進する。

・ 製造業・農林水産業等の地域の産業や離島等の住民生活を支える港湾整備の推進

・ エネルギー・食糧等のバルク貨物の安定的かつ効率的な海上輸送網の形成

 

(3)デジタル田園都市国家構想の実現に資する交通のリ・デザイン (P.44) [540 億円(1.23)

地域の多様な関係者が連携・協働し、デジタル技術も活用しつつ地域公共交通を再構築する「リ・デザイン」に向けた取組を支援し、持続可能な公共交通サービスの構築を推進するとともに、港湾等の人流ネットワークの早期整備・活用による広域圏の自立的発展と交流・連携の強化を図る。

・ 地域の公共交通のリ・デザインと社会的課題解決を一体的に推進するための多様な関係者の共創

DXGX による持続可能な地域公共交通の実現

・ 地域公共交通の維持確保・体質改善

・ ローカル鉄道の再構築方針策定等の後押し

・ 快適で安全な公共交通の実現

・ 安全・安心な鉄道輸送を確保するために地域鉄道事業者が行う設備更新等に対する支援

・ まちづくりと連携した公共交通の基盤整備

・ 離島航路の就航率向上や交流人口の拡大に資する港湾整備

 

(4)「こどもまんなかまちづくり」の推進等こども・子育て政策の抜本的強化 (P.45)

「こども未来戦略方針」(令和5年6月閣議決定)を踏まえ、こどものための近隣地域の生活空間を形成する「こどもまんなかまちづくり」を加速化するとともに、こどもや子育て世帯を社会全体で支える機運を醸成するための取組を実施する。

・ 子育て世帯等に対する住宅支援の強化

・ こどもの遊び場や親同士の交流の場の整備などによるこども・子育て支援環境の充実

・ こどもが安全に自然環境に触れられる河川空間の整備

・ 通学路等の交通安全対策の推進

・ 全国の「道の駅」における子育て応援施設の整備の推進

・ 公共交通機関等における「こどもまんなか」の意識醸成のための調査等の実施