はじめに
本市の公共交通について話そうとするとき、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 市内の移動にはクルマを使っているので、あまり考えたことはないかもしれませんが、、市内でよく見かける茨城交通の路線バスとスマイルあおぞらバスのことを思い描くのではないでしょうか? 前者は、運行本数の縮減や路線廃止などがあって一時に比べて目立たない印象ですが、朝夕の通勤通学やJR勝田駅と海浜公園を結ぶ手段としては欠かせないものになっているようです。後者については、市内各所でよく見かけるものの、利用者が少なく、どこをどう走っているのかよくわからないと感じるかもしれません。
スマイルあおぞらバスは、「主に高齢者などの車を運転することが困難な方や,車を所持していない方などの生活の足として,主に路線バスが走っていない地域と市内各拠点をつなぐコミュニティバス(市役所企画調整課)」で、平成18年に導入されました。現在、市内に8つのコースがあり、住宅団地や主要拠点などの停留所(市内約350カ所)を回っています。コロナ禍前のピーク時には年間18万人の利用者があり、現在その値に戻りつつあるとされる半面、運行本数が極めて少ない、コースが複雑で判りにくい、待ち時間や到着までの時間が長い、乗り換えが考慮されていない、などの問題があり、市内を自由に移動できる手段としては役不足と言わざるを得ない存在です。料金は、¥100/回と安価ですが、逆に公的な補助金に頼らざるを得ないことも課題となっています。
全国の自治体において、公共交通機関網を利便性が高くしかも経済的に見あう形へ変革しようとする動きが盛んになっていることは既に別ブログ(末尾に掲載)で述べました。そうした動きの中、オンデマンドバス/タクシー(総称して、オンデマンド交通)が解決策の一つとして注目されています。別ブログにて、高萩市や長野県塩尻市などで既に本格運用されていることを紹介しました。
そこで本ブログでは、本市のような都市構造における公共交通のあり方、取り組み方針に関してあらためて考察した上で、オンデマンド交通の導入可能性、課題、効果について議論します。これまで同様、生成AIをコンサルタント、あるいは知恵の相談相手(孫正義氏言)と捉え、活用します。
なお、オンデマンド交通とは予約をすると運行する乗り合いの公共交通機関のことですが、以下の点について再確認しておきましょう、
オンデマンド交通を利用するためには、利用するたびにスマホや電話を用いて、予約をする必要があります。予約をしてはじめて運行する乗り合い、つまり複数人での共同利用を前提とした公共システムです。複数の利用者の条項場所をもとに運行ルートをAI(人工知能)が最適化するしくみです。固定された(決められた)停留所と運行ルートを選択して走行する場合と、停留所、運行ルートとも固定されない場合があります。タクシーのような使い方ができながら、タクシーよりも安価であることが魅力です。利用する場所や時間が決まっていないので、自由に必要なとき、必要な時刻、場所で利用可能というのが特長です。
地方都市の公共交通機関ネットワークをデザインする
オンデマンド交通を議論する前に、まず本市のような都市構造で利便性が高く経済的に見あう公共交通機関網を設計する際の基本的取り組み方針・方法について考えてみましょう。なお、判りやすくするため、生成AIの回答の前後に『』、筆者のコメントの前に◇を付します。参考資料は生成AIが提示したものです。
【質問1】
次のような構成の日本の地方都市です。
・面積約100平方キロメートル、人口密度約1500人の田園都市。
・市街地、住宅団地、ショッピングモール、公的機関、学校、工場、病院、公園などが市内に広く分散して立地している。
・公共交通機関は、JR(駅2つ)、片方のJR駅から延伸するローカル鉄道、市街地間をつなぐ路線バス、市内全域を網羅するコミュニティバス、で構成される。
・路線バスは運行路線・本数が限定的で、コミュニティバスは路線が複雑で運行本数が極めて少ない。
・そのため、公共交通機関で市内の自由な移動が困難。
・市内の望みの所へ自由に移動するには自家用車またはタクシーが不可欠。
・市内の海岸エリアには観光客が多く訪れる海浜公園、魚市場、ショッピングモールなどがあるが、利便性の低い公共交通機関で気軽に行けない。
このような地方都市において、公共交通機関、路線バス、コミュニティバスの在り方を改革し、自家用車やタクシーに頼らずに市内を移動でき、市民がより快適で幸せに暮らせるまちに変えていきたいと考えています。オンデマンド交通や自動運転バスなどの導入は改革のための候補と考えています。そこで、こうした目標に向かうには、どのような方針に基づき、どのようなアプローチ方法を取ったら良いか、アイデアを提案してください。
【回答1】 by MS Bing/copilot
『公共交通機関の改革に向けて、以下のような方針とアプローチを提案します。
方針:
1.利用者中心のサービス設計: 利用者のニーズに応じたサービスを提供することで、公共交通の利便性を高めます。
2.持続可能な運営モデル: コスト効率と環境への配慮を考慮した運営モデルを構築します。
3.技術革新の活用: オンデマンド交通や自動運転バスなどの新技術を積極的に導入し、サービスの質を向上させます。
4.地域社会との連携: 地域の企業や住民と協力し、公共交通を地域社会の一部として位置づけます。
アプローチ方法:
1.オンデマンド交通の導入: 予約に基づいて運行するオンデマンド交通を導入し、利用者が必要な時に必要な場所へ移動できるようにします。例えば、岡山県玉野市ではタクシー車両を使ったオンデマンドバスが成功しています1。
2.自動運転バスの実装: 自動運転技術を活用したバスを導入し、ドライバー不足の問題を解決し、運行コストを削減します。茨城県境町では自動運転バスが定常運転を開始しており、地域交通の改善に貢献しています2。
3.マルチモーダルな交通システム: 自転車共有、電動スクーター、徒歩など、他の交通手段との連携を図り、利用者にとって最適な移動手段を提供します。
4.地域住民の参加促進: 地域住民が公共交通の計画や運営に参加できる仕組みを作り、利用者の声を直接反映させます。
5.情報提供の充実: リアルタイムでの運行情報の提供や、アプリを通じたサービス予約システムを整備し、利用者が容易に情報を得られるようにします。
これらの方針とアプローチを通じて、市民が快適に移動できる環境を整え、地方都市の公共交通を再生させることが可能です。地域の特性や利用者のニーズを十分に理解し、柔軟に対応することが成功の鍵となります』
◇利用者のニーズを吸い上げ、コスト効率と環境性が高く持続的な運営モデル・サービスを設計すること、先端技術であるオンデマンド交通や自動運転を積極的に取り入れること、市民や地元企業などとの連携を図り地域全体の利益を目指すこと、など基本的方針が示されました。また、オンデマンド交通、自動運転バス、などと併せて、自転車共有ほかのスモールモビリティなど複数の交通モードと上手く組み合わせて、市民の移動ニーズに応えること、さらには地域住民の意見・要望が反映できるしくみ作りや、デジタル化による情報提供の充実、など有用なアイデアが得られました。
参考資料:
1)オンデマンド交通の事例
https://www.libcon.co.jp/column/on-demand-transportation-case-study/
2)茨城県境町で自動運転バス実用化から1年。見えてきた成果と課題
https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/434167/022100208/
3)地域公共交通の活性化・再生への事例集
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/htm/all.html
4)地域の公共交通を取り巻く現状と
検討の視点・課題
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001631603.pdf
利用者ニーズに応えるオンデマンド交通の導入に当たって
次に、公共交通の利便性向上に有用とされ、普及が広まりつつあるオンデマンド交通について掘り下げてみましょう。
【質問2】
「利用者中心のサービス設計」のために取るべき具体的方法」として注目される、オンデマンドバスを導入する場合のより具体的方法を示してください。
【回答2】 by MS Bing/copilot
『地方都市にオンデマンドバスを導入するための具体的な方法は、以下のステップに分けて考えることができます。
1.ニーズの特定: 地域住民の移動ニーズを把握するために、アンケートやインタビューを実施します。特に高齢者や障がいを持つ方々の移動ニーズに注目し、サービス設計の基礎とします。
2.技術基盤の構築: オンデマンドバスの運行には、予約システムや運行管理システムが必要です。AIを活用して効率的なルートを生成するシステムを開発し、スマートフォンアプリやウェブサイトでの予約が可能になるようにします。
3.車両の選定: 運行に使用する車両を選定します。大型バスから小型バスへのダウンサイジングや、必要に応じて電動車両の導入を検討します。
4.ドライバーの確保と研修: オンデマンドバスの運転手を確保し、必要な研修を行います。特に、新しいシステムの操作方法や顧客サービスに関する研修が重要です。
5.地域住民への周知: 地域住民にサービスを知ってもらうために、説明会やデモンストレーションを実施します。特に、スマートフォンの操作に不安を感じる高齢者に対しては、手厚いサポートを提供します。
6.パイロット運行: 実際にオンデマンドバスを運行し、初期のフィードバックを収集します。この段階で問題点を洗い出し、改善を行います。
7.評価と改善: パイロット運行の結果を評価し、必要に応じてサービスの改善を行います。利用者のフィードバックをもとに、サービスの質を継続的に向上させます。
8.正式運行: サービスの改善点を修正した後、正式な運行を開始します。定期的な評価と改善を続けながら、サービスを提供します。
これらのステップを踏むことで、地方都市においても利用者のニーズに応えるオンデマンドバスサービスを実現することができます。長野県塩尻市の事例1や、他の地域での取り組み事例2を参考にしながら、地域特有の課題に合わせたサービス設計を行うことが重要です。また、地域住民とのコミュニケーションを密にし、彼らの意見をサービスに反映させることが成功の鍵となります。』
◇市民一人ひとりのニーズに応え、市内を気軽に移動できるオンデマンド交通ですが、その導入は単純でなく、実現に至るステップを周到に踏んで行くことが肝要ということです。先行事例を見ても、地域住民の意見要望ヒアリングから、念入りな準備、関係者間の調整、プロジェクト体制構築、などの施策項目に対して、行政主導で円滑に推進されていることが判ります。また、従来のコミュニティバスを一気に置き換えるのでなく、要望に沿って段階的に換えている取り組みも学ぶべきと考えます。
参考資料
1)AIを活用したオンデマンド型地域公共交通システム構築プロジェクト
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0067.html
2)オンデマンドバスとは?企業・自治体の取組み事例と事業への活かし方
https://www.tachiage.com/tachiagekaigi/knowhow/on-demandpass/
3)持続可能な地域社会を支える「地方型MaaS」の取り組み【第4回】
https://dcross.impress.co.jp/docs/column/column20220525-2/003255.html
4)オンデマンド交通の導入の際に気をつけることは?
https://kotsutorisetsu.com/20200705-1/
オンデマンド交通は本当に効果があるのだろうか?
オンデマンド交通の導入ステップを概観しました。では、その導入によってどんな効果がもたらされるのか、再確認してみたいと思います。
【質問3】
地方都市の公共交通機関として、従来型のコミュニティバスに比べてオンデマンドバスでは効果、利益がどの程度あるか、について、運行事業者、地方自治体、市民のそれぞれの立場で具体的に説明してください。
【回答3】 by MS Bing/copilot
『オンデマンドバスの導入による効果と利益は、運行事業者、地方自治体、市民それぞれの立場で異なります。以下に具体的な説明をします。
運行事業者の立場:
・収益性: オンデマンドバスは、需要に応じて運行されるため、無駄な運行コストを削減し、収益性を向上させる可能性があります1。
・新しいビジネスモデル: 予約システムやAI技術を活用することで、新しい顧客層を開拓し、サービスの多様化を図ることができます2。
・運行効率: AIによるルートの自動生成により、乗車効率が向上し、運転士の減少を補うことができます2。
地方自治体の立場:
・公共交通の維持: 人口減少や少子高齢化により、従来の路線バスの維持が困難な地域で、住民の移動手段を確保することができます3。
・社会貢献: 高齢者や障がいを持つ方々など、交通弱者の移動支援を通じて、社会貢献を果たすことができます4。
・地域活性化: 地域内の移動が活発になることで、地域経済の活性化に寄与することが期待されます3。
市民の立場:
・利便性の向上: 時間やルートを自由に指定できるため、利用者のニーズに合わせた柔軟な移動が可能になります1。
・コスト削減: 従来の公共交通機関に比べて運賃が安価であることが多く、市民の交通費の節約につながります3。
・環境への配慮: 乗り合いが可能であり、車両の合計移動距離が短くなるため、環境への負担が減少します2。
オンデマンドバスは、これらの利点を持ちながらも、運行事業者のリソース管理、自治体の適切な政策立案、市民の利用促進など、成功には多くの要素が関わってきます。各立場からの協力と理解が重要です。』
◇オンデマンド交通の導入によって、市民の移動の利便性向上だけでなく、様々な場面で経済的に大きな効果、利益が得られることが再認識できました。しかしながら、オンデマンド交通導入によるマイナス効果も考慮する必要があることは言うまでもありません。導入に際しての車両、運行・予約・決済システム、などの設備経費、運行・管理に要する人件費、などを上回る収益の定量的見積もりが本施策是非判断の重要なポイントの一つと言えるでしょう。
参考資料
1)オンデマンドバスとは?企業・自治体の取組み事例と事業への活かし方
https://www.tachiage.com/tachiagekaigi/knowhow/on-demandpass/
2)オンデマンドバスの仕組みを解説!サービスの特徴や運行に必要な準備とは
https://www.tmj.jp/column/column_20776/
3)オンデマンドバスとは?お得な交通システムを活用しよう
https://minsetu.com/ondemandbus/
4)オンデマンド交通の利用を増やすためには?
https://kotsutorisetsu.com/20210205-2/
むすび
本市の公共交通機関ネットワークをどう設計したらよいかについて、取り組みの基本方針・プロセスから、オンデマンド交通の導入可能性・方法まで議論しました。その結果、オンデマンド交通の効果・利益を認識できました。ただ、導入は簡単ではなく、ステップを着実に踏みながら推進する必要性を再確認しました。
ここでの議論は取り組みのための羅針盤にすぎません。市民に広く理解を促し、合意形成を図ることが肝要です。さらには、既存の交通モード(JR、海浜鉄道、路線バス、通勤バスなど)の最大限活用、(交通モード間の結合・連携を含め)都市全体でのネットワーク構築、およびまちなか活性化を伴う都市計画、といった全体最適化の視点が欠かせないことを指摘したいと思います。
交通体系の未来図を描き、それに向けて一歩ずつ前進させる姿勢が必要と思います。そこには、少子高齢化と人口減少の将来予測と対応、SDGsへの貢献、AIの進化などを考慮するとともに、多様な市民のウェルビーイング実現を伴う必要があるでしょう。
AI活用オンデマンド交通、電気自動車、自動運転など、新技術導入の実証試験を踏まえながら段階的に進めることは重要です。しかし、世の中のトレンドだからといって、やみくもに新技術導入に絞って動くのではなく、行政、事業者、市民が知恵を絞る場を設け、有識者の指導を受けるなどして着実に推進すべきと考えます。スマイルあおぞらバス導入に際しても、事前に、「公共交通問題研究会」と称する組織での議論、自治会との意見交換などを通じた熟慮の期間(H14、10~H18.10)があったと聞きます。今回もそうした周到な準備のステップが必須と考えます。その際、全体を理解してけん引できるプロデューサー/ディレクターの存在が不可欠と思います。
今年度は市制施行30周年の区切りの年です。他方、令和8年(2026年)からの第4次総合計画への準備開始の年度でもあります。加えて、立地適正化計画、公共交通網形成計画なども同時に改定されることになります。ここで取り上げた公共交通問題は、いずれの計画でも極めて重要な位置づけにあると言えます。既に総合計画企画審議会はスタートしているようですが、検討期間に猶予はあまりありません。総合計画のための全体議論と併せて、公共交通に関する深掘りの議論を迅速に進めるべきことを切望し、むすびとします。
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以上
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